シャーロック・ホームズ

 私は基本的にミステリィ全般が好きだけど、映画ってメディアは見ない主義だった。ただ、09年公開当時のCMを目にするかぎり、これは面白そうだなと思っていたところ、先月地上波で放送されるということで録画したものを視聴した経緯があります。ホームズとは推理小説の原典というか、とはいえコナン・ドイルの原作は読んだことがなく、読んでも遠い昔1冊か2冊ぐらいで記憶はゼロに等しい。NHK-FMの青春アドベンチャーで98年放送した『ロスト・ワールド』は聴いていましたが、そのぐらいの予備知識。「シャーロキアン」という言葉を知ったのは島田荘司だったか高田崇史だったか忘れたけど、最近では探偵オペラ ミルキィホームズとか名探偵コナンの劇場版『ベイカー街の亡霊』でのみ間接的に知っている程度でした。どちらかと言えばモリアーティ教授って紳士的なイメージがあったのですが

シャーロック・ホームズ2009年のアメリカ映画
 テレビ朝日日曜洋画劇場」放映版だったので、日本語吹替はその2として扱われ、ホームズは藤原啓治ではなく大塚芳忠、アイリーンは佐古真弓ではなく沢城みゆき、さらには犯人役のブラックウッド卿には大塚明夫とかワトソンの婚約者メアリーに田中敦子を起用するなど個人的には素敵なキャスティングだった(笑

 鳥打ち帽をかぶりインバネスコートに身を包み、パイプを燻らす紳士な彼はそこにはいない。推理という推理を格闘技に転用するファイトプレイは、むしろジャッキー・チェンみたいなアクション重視の映画。中盤の造船所で行われたCGありきの派手なアクションシーンは好きじゃないけど、まァたまにはこういうのもいいだろう。『八つ墓村』の金田一みたいな風貌はともかく。とにかくワトソンに対する印象が変わった。読者よりちょっとバカなキャラ設定だと思えば、すごくカッコいい親友かつ理解者ではないか。亀山時代の『相棒』を連想したほどだ。レストレード警部との関係性もルパンと銭形よろしく「いざ」というとき助け合うギブアンドテイクは微笑ましい。アイリーンの共闘と裏切りも中のヒト的には、現在放送中の『LUPIN the Third -峰不二子という女-』と通ずるものがあったり・・・

 ・・・ただ、これはちょっとヒトを選ぶ。やっぱり全体的には大雑把で大味のトリックや犯行動機ばかりで、殺陣や捕り物もドリフの志村うしろうしろ的なコントベースのエンターテインメントに終始したのは残念の極み。まるで98年のハリウッド版『GODZILLA』を鑑賞したときのように呆然としてしまった。そういえば、あれもアメリカ映画だったかな。まァだから映画を見ない主義ってわけじゃないんだけど。前半の2人の掛け合いはよかった


ホームズ「戦いのときだな」
ワトソン「魂に従い」
「時の声をあげよ ハリーとイングランドと聖ジョージに神のご加護を」