わすれなぐも

 若手アニメーター育成プロジェクト、通称アニメミライ
 劇場公開日2012年3月24日 上映時間25分

 監督・原案:海谷敏久
 脚本:谷村 大四郎
 アニメーションキャラクターデザイン・作画監督高橋英樹
 作画監督補佐:山田勝哉
 原画:山田 誠、秋山一則、瀬口 泉、津坂美織、竹中真吾
    中山知世、春日広子、村山章子、荒木 涼
 美術監督:岩熊 茜(小倉工房)
 音楽:杉林恭雄
 プロデューサー:寺川英和
 アニメーション制作:Production I.G 

<ストーリィ>
 かつて上代に手練れの陰陽師が大蜘蛛を封印したと言われる一冊の本。それを入手した古書店の硯とビルのオーナーの孫娘・瑞紀の前に、身の丈20センチほどの小さな娘蜘蛛が現れた。寂しげに母を求める娘蜘蛛のいたいけな姿に、硯は自分の師匠からヒントをもらって、あるべき場所へ物の怪を返そうと試みる。だが行動をともにする瑞紀からは、硯はすでに娘蜘蛛に取りつかれたようにしか見えなかった・・・

 日本の古代前期と現代と、ふたつの時代を妖怪伝承で結びつけ、そこに起きる騒動をユーモラスに描いた伝奇アクション

<感想>
 公式HPでは、海谷敏久(代表作:テイルズ オブシリーズ)とあるが、劇場版『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜』の作画監督ということなので、もちろん作画と原案はべつものである。まちがってもやシャスティル&ヒスカの姉妹愛やフェドロック隊長の騎士道精神的なイメージは拭ったほうがいい。Production I.G的には『BLOOD-C』より『xxxHOLiC』のほうが近い。さておき本編の感想、まず初見の第一声はバッドエンド以外のなにものでもなかった。しかし主人公と思しき瑞紀ちゃんがああなっちゃったけど、一概にバッドとも言えないから恐ろしい。作中の主要人物が笑顔で終わるならハッピィエンドなのだ。すべては娘蜘蛛の存在理由。普通のラノベなら、名付け親にでもなるところを飛ばしたのは成功だった。これが1クールの13話編成だったら、きっと第2話から名前がついて本編の『喰霊-零-』となるのだろう。なるほど、これは彼女の妖しさを愛でるためだけのファンタジックホラーであったと気付かされた。途中で白いシャツに着替えたのはちょっと不似合いだなと思っていたけど、現代社会に馴染ませようとする意図があるのかなと受け容れていましたが(笑)。CV金田朋子にも関わらず、作中ではたった一言のセリフだったのも、見た目の印象や愛らしい表情がブラフとなってよい裏切りを見せてくれた。「カワイイは正義」という往年の固定観念(汗)に対するアンチテーゼというかね。同族の師匠よろしく、同じ穴のムジナ的なルートで決着したのは、上映時間25分ならではの余韻としてその後の想像力を掻き立ててくれたorz