DDD 1巻

『DDD 1』奈須きのこ
感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者・・・俗に言う“悪魔憑き”が蔓延る世界。左腕を失った男、石杖所在と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡む迦遼海江の二人が繰り広げる奇妙な“悪魔祓い”とは?(裏表紙より)

 
 ちなみに、奈須きのこは『空の境界』しか読んだことがなく、あとはFate/stay night月姫(真月譚)をテレビで観たぐらいなのでアレですが、伝奇モノはぜんぜん通ってこなかった私でもわりと好意的に読めた。綾辻の『フリークス』より怖くなかったし王道のラノベ的ですかね(汗)

 講談社BOXは読みにくいのであまり手に取らないけど、こないだブクオフで105円で売っていたので試し読み。もう5年前の作品のようで、しかし2巻までしかないのでシリーズ化はならなかったのは残念(笑)率直な感想、スタンダードな叙述も悪くないと思えた。P204〜16行目の彼女のセリフは背筋が凍るようで素晴らしかた。P143のドクターが諭した生き方も弱者にとって結構共感を呼ぶんじゃないかと思われ。私個人的にはP48のツラヌイ流が堪らなく好き

「いいですか。無条件に愛されなかったもの、社会に迫害された人間は、総じて自身の価値を喪失している。愛されなかったから、居場所を与えられなかったから、自分に価値があると思えない。一生卑屈に生きていく。その欠落、マイナスを取り戻す事はできません。このディスアドバンテージは本人には決して埋められない。解決方法は一つだけ。自身に価値を見出せないのなら、君の価値を認めてくれる者に触れなければいけない。君には自信ではなく、君を必要とする者こそが必要なのです。一生をかけて探しなさい。その為に、君は生きていくべきだ」


 神が完全無欠にして全知全能であるなら。悪魔とは、荒唐無稽にして人知無能の現象である(P87)

「そんなんじゃないです。みんな、お金が欲しいとか正義感とかどうでもいいんです。今はこの噂が一番面白いから便乗してるだけなんです」
「ふうん、ツラヌイはそういうの嫌い?」
「嫌いです。信念のない娯楽は堕落つーか」