秋シーズン各1話

※ちなみにこれは視聴した順なのでランキングではありません。

 『C3-シーキューブ-』第1話 
 良かった点
 Yシャツ+縞パンの王道萌えポイント。卓袱台の下からチラリズムが映える。エンドカードのスカート脱ぎ+縞パンも重畳。メインヒロインにCV:田村ゆかりを起用する作品は、もえたんの虹原いんく以降敬遠していたのだが、そんな王政復古もたまには癖になる。「なぜ、私にかまう!」商店街の皆さんから注目されて逆ギレの少女に対して、「ほっとけないよ」優しい地域コミュニティの人間性が、ハートウォーミング仕様で切なく微笑ましい。ラストのOP?は単純なカット割りにしてはダカーポ的な桜吹雪との相性が妙味。Cパートの「ゴミ掃除」という意味深な終わり方もパンチが利いている。
 良くなかった点
 全裸のせんべい泥棒から、すんなり「箱」を受け入れた主人公は何者?と思えば「呪われない」特異体質だった、らしいのだが口で説明して終わりで説得力がない。それとルービックキューブは良いとしても、地デジ完了後の現代からしたら、ブラウン管TVの取り扱いはちょっと「キューブ」に掛けすぎでは?さておき「呪い」と「箱」が結びつかないまま1話を終えてしまった。宇宙をかける箱少女とは違って、タイトルにもなってるぐらいだから必然性がもっと欲しい。

 『真剣で私に恋しなさい』第1話
 良かった点
 おちこぼれ組VSエリート組ときいてバカテス的な戦術やバトルを想像したが、三国志ばりの群雄割拠な学園モノとしてのスピード感がすごい。異種格闘技のボリューム満載。熱い展開と優しい展開のバランスも重畳。こういった趣向だとハーレムになりがちだけど、男声&女声のキャスト陣が豪華絢爛かつ痛いところに手が届いている。もったいないぐらい贅沢すぎるキャスティングで、こんな高純度のクオリティを維持できるか心配になるほどだ。ラジオドラマでもいいから維持して欲しい。タイトルをみて0話で切った人はきっと後悔するだろう。
 良くなかった点
 熱い展開の総力戦にしては作画やバトルシーンがちょっぴり見劣りする。ニコ生やtwitter的な実況向きといえばそれまでだが。登場人物が多いので典型的なキャラ設定に終始しており「発展」や「続き」が気にならないのが玉に瑕。回想でフォローしつつも主人公と姉さんの求愛活動は一段落したわけで、全体的にはストーリィもなきに等しいので、最初からクライマックスの総集編のような良い最終回だった。

 『ファイ・ブレイン 神のパズル』第1話
 良かった点
 タイトルどおり、出題されるパズルゲームを攻略していくNHKらしい丁寧な謎解きが見せ場。クローズドサークルな世界観で各話を構成していけば、『カイジ』や『ライアゲーム』みたいな極限サバイバルに発展していきそう。神のパズルではなく、神の一手といえば『ヒカルの碁』だけど、それと同じように番組終了後のミニコーナも楽しめる徹底的にパズル尽くしだ。小中学生ぐらいの視聴者層に絞って考えれば楽しめそう。
 良くなかった点
 登場人物はひとり一回以上「パズル」「パズル」って連呼しすぎで、この作品はそういうのがテーマなんだよって押し付けが半端内けど、それよりアインシュタインの物真似(あっかんべー)やる主人公とその迅速な指摘(ツッコミ)が痛い。頭脳プレイに定評がある、のみならずワトソン役のヒロインを助ける超運動神経も抜群ときているし、アクロバティックなパズラーという非の打ち所もない完璧な超人が、大好きなパズルと契りを結ぶ恋愛物語のようだ。サッカーボールが友達な主人公と違って、高校生の設定だと理解を阻む。

 Fate/Zero第1話
 良かった点
 聖杯戦争というと、アリスゲームの大人版みたいなものか。かなり長めのチュートリアルで起伏も平坦だったが、魔術師たちの群像劇に近い並行視点はそれぞれ引き込まれる。そして50分ほどじっくりコトコト煮込んだあと、最後の最後でセイバーが降臨した瞬間視聴率は紅白を超えたに違いない。初回1時間構成は大成功と言える。幼女ver.イリアをはじめ、凛や桜の幼少時代も堪能できて懐かしさを覚えた。スピンオフという位置づけらしいけど、edでいうa tale of melodiesで、10年前になっただけだからセイバーは健在。衛宮士郎の養父が主人公だろうと無問題だ。
 良くなかった点
 東浩紀いわく「そもそも聖杯戦争に参加しない」という選択肢が無いなど本作は自由度が低い、といった指摘もあるとおり、かなり恣意的なゲーム感覚で進んでいく傾向がある。優生思想や因習に縛られた閉鎖社会のルールの中での最大公約数的な「運命に抗う」タイプ。第1話のパンチ力にしても、『Fate/stay night』の既存ファンを除いた初見さんにとっては多少敷居が高いのではないか。

 境界線上のホライゾン第1話
 良かった点 
 学園戦国ファンタジィというだけあって壮大なスケール感。教官VSクラスメイトの課外授業という構図で、主要キャラの自己紹介は親切だ。魔法や科学や剣術、ロボットなど多種多様な異文化が混じっているにも拘らず、それぞれの文法に則った細かい設定が生き生きしている。カリキュラムにありがちな、足の引っ張り合いはなく、仲間意識が高いのも好感が持てた。OPを最初から公開したのも成功だろう。鎧袖一触の教官に諦めムードの中、主人公が美味しいところを持っていくオチは想像できたけど、「なにもできない」ことを最大限に利用した野心家、こういった性格は戯言使いのいーちゃん的でたいへん好みである。
 良くなかった点 
 ホライゾンって人の名前だったの?死んだのに告白とか意味わかんないけど冒頭で歌ってた少女と出会うことはなかった。淫靡な精霊やカレー男、スライムまで人格があって、人間なのか非人間なのかジュエルペット国民なのか。全体的には教官の乳を揉んだことしか記憶に残ってない。ラストで種明かしのようにナレーションを挿入、一気に説明されても、歴史をやり直して再構成?いろいろ武力介入して派閥ができちゃった?これこそ初回1時間にすべき。30分のフォーマットには不向きかもしれない。ちなみにジャッジメントで反応したら負けだと思っていい。

 ちはやふる第1話 
 良かった点
 花咲くいろはを思わせる全体的に丁寧な作り。主人公の千早が部員募集のポスターを貼るシーンでは、椅子に体重を預けてる足がぷるぷる振るえる描写まできめ細かい。動かなければいいのに残念な無駄美人をよく表現している。そして同時に、これはCV:瀬戸麻沙美の初主演作。彼女の声を聴きたいなら今期はこれしかない。3人目の主役:転校生の百人一首に対する情熱も去ることながら、福井弁が新鮮だった。これは個人的なあれとして、舞城王太郎の作品が好きな人なら手を叩いて戦慄すべき馴染みがあるだろう。
 良くなかった点
 お姉さんは競技カルタのコンテストではなく、普通の美人コンテスト?このやりとり必要か?「夢は自分で見つけるもの」という物差し代わりに使われただけなら残念だ。何より一発目にして、けっきょくタイトルの語源を紹介しただけで30分使ってしまった。昔の幼なじみと再会して回想のままで終わるより、一瞬でもいいから現在に戻ってくれれば作品としてまとまっていたのでは。そうじゃないと、次週も小学6年生の千早を期待してしまう。OPの歌詞に「ちはやふる」なんて歌わせるあたり若干あざとい。そこまでタイトルひとつに固執しなくてもいい。

 たまゆら〜hitotose〜』第1話
 良かった点
 ARIAのような癒し系と、けいおん!の「!」マークを取ったような静かなゆるやかなテンポで、さらにマクロスFを連想させるOPの坂本真綾、EDの中島愛が担当した楽曲のおかげで、初見にも拘らず耳馴染みしやすい世界観となっていた。古きよき田舎らしい時間の流れ。それでいて主人公あずにゃんの「アグレッシブ」を標語にしているギャップが可愛い。小さな体のわりに、わりとしっかりした靴が映える。本作のテーマは写真撮影。日常のちょっとした発見に喜びや美しさを与えてくれる。憧れのカメラマンからファンレターの返事が届いたのも、優しい世界のつながりが地続きで感じられて微笑ましい。友達と合格祈願で手を合わせるシーンでは「お互いの願い事」を口に出して言うあたりの優しさにも心打たれた。今回は旅立ちの序章だったが、Bパートラストの「おかえり」で涙を流す演出は、代わりに涙を流してくれる相手がいないという象徴として最高潮の終わり方といえるかも。
 良くなかった点
 特に面白いギャグがあるわけでもなく、一般ウケする「あるある」ネタがあるわけでもなく、Aチャンネルのようなスベリ芸もないので単調さを感じる。善意の透明度があまりに高すぎるので窒息死する恐れ。特にボクのような疚しい心の持ち主は自己嫌悪に陥ってしまう。夏期でいうと異国迷路の湯音だが、クロードのような彼氏役もいないので、ゆるゆり的な自己完結に終始するかもしれない。舞台は瀬戸内の竹原。ネオベネチアや19世紀のパリのような異世界でもないので、無意味なリアリティを撒き散らす。つまり「手を伸ばせば、こんな綺麗な世界がどこにでもある」なんて幻想を抱かせる。これが純真無垢な小学生ならまだしも、清濁併せ呑んだ社会人が視聴するためには絶望と希望のギャップを受け入れる覚悟をせねばならない。所詮アニメはアニメ、現実は現実、と平気で口にできる大人にならなければ耐えられない。
 
 僕は友達が少ない第1話
 良かった点
 主要メンバー総出演の軽快なOPが食欲をそそる。サービスカットも含め、かねてから原作(イラスト)は拝見していたので、想像どおりの絵柄のままで作画もきれい。EDの2人ライブもしっかり仕上がっていた。主人公CV:木村良平は、神様ドォルズのアキやピンドラの晶馬などと同様安定。生まれつきのブロンド効果で、とらドラの竜児よろしく「怖いひと」属性で距離を置かれるようになったばかりでなく、転校初日に遅刻して自己紹介の機会を逸するというダブルパンチの境遇には、友達いない設定としてしっかり同情できた。そしてエア友達のヒロインが気にする「アイツ友達いないんだ・・・と思われることがイヤ」なところも、けっこう共感を呼ぶんじゃないか。冒頭でちょっと顔出した修道服の少女とか、主人公宅のソファから頭部の見切れていた妹?といい、要所要所でさらっと存在感をアピールする演出も奥ゆかしい。 
 良くなかった点
 ヒロイン2人を掛け合わせて劣化ハルヒか。隣人部=SOS団といっては語弊があるが、宇宙人や未来人や異世界人や超能力者の代わりにただの人間、友達がほしいだけのモチベーションでやっていけるか不安。これが義務教育の年代ならまだしも、「エア友達のトモちゃん」を筆頭に、高校2年にもなって悩む年頃でもないだろう。部活に入るのは手遅れだというが、じゃあなぜ1年生のとき入らなかった?それと理事長の乳娘も金髪だと、主人公のハブられたチャームポイントとかぶらないか?部員募集のトリックを一瞬で読み解いたところは学園首席の天才キャラとして頼もしい反面、部員が美少女ばかりだと「友達がいない共感」に水を差す。それ町の春江さんみたいなやつが一番に名乗り出ないと結局名目だけのハーレムアニメになりさがるオチですけど。

 『ペルソナ4』第1話
 良かった点
 全体的に整っていて平均点はクリアしているんじゃないかと思う。軽快なOP曲と本編導入の同時進行、メニュー画面を操作するようにスイッチする日付変更線、転校生に優しいチュートリアルで初見でも素直に世界観に入っていける。仮面ライダーフォーゼの田中を思わせるイヤミな田舎教師がアクセントとなって、ヒロインが可愛い。主人公はちょっと大人びた高校生ながら、中身はちゃんと等身大だ。覚醒までのフラグが丁寧に織り込まれており、口数の少ない主人公を演じておきながらのラストでは、人格が代わったようにダークヒーロー的な豹変を遂げてくれた。あのメガネがセンスを感じる、厨二的美学がうまく反映されている。ペルソナシリーズで免疫ある人なら垂涎の的なのだろう。
 良くなかった点
 真夜中テレビが出発点のはずなのに、電気店でも普通にアクセスできるの?なんなの?あれ1回の噂だけ?ワンセグテレビは入れないの?高校生になるまでテレビを見てこなかったの?最初から最後まで典型的なゲームシナリオで構成されており、極めてシンプルな召喚バトルモノで飽きやすい。平和な学校生活の水面下で表わされる殺人事件も王道。奇をてらった猟奇性があるようには思えないけど、さも残虐性を強調するかのように刑事がゲロして逆に冷める。初回にしてこの単調な作りだと、興味を惹くようなドラマ性はほとんど感じられない。肝心の戦闘描写にしても、数匹のザコを一蹴しただけで必殺技を決められるような当て馬さえいなかったのは残念すぎる。

 機動戦士ガンダムAGE第1話
 良かった点
 同タイトルの対象年齢を『UCシリーズ』とに分けているので、その種のクレームは限定的だろう。地球連邦軍の大人たちやクラスメイト、そしてヒロインが良き理解者、最初から主人公の正義が正しいので無駄な葛藤がなく判りやすい。彼いわく「ただ破壊を繰り返すモンスター」に立ち向かう勧善懲悪になりそうな感じ。一見すると王道かつ単純なようでいて、ガンダムを作った主人公が自ら操縦するとは斬新だ。プレイングマネージャーということは、機体整備やバージョンアップも天才少年のスキルを利用してその都度やってくれるに違いない。正体不明の敵(UE)にしても、味方機を完全に消滅させて撤退する戦略的なギャップも興味をそそる。ガンダムのEDに栗林みな実が担当するのは初めてか?本編でも声優を務めるか期待したい。
 良くなかった点
 戦争がテーマではないので人間VS人間の従来の血祭りドラマは方向性が限られる。仮面キャラはいないのか?(シーキューブの理事長とまでは言わないが)OPを見ても刮目すべきライバル機体との対決シーンはないようだし、総じてMSがダサい。本編にしても、ガンダムという言葉がNHKのパズル並に連呼されて希少価値が下がってしまい、ラストでお披露目になってもあまり新鮮味を感じない。初陣がダガーナイフ1本で地味な終わり方(ファーストじゃあるまいし)だったのも消化不良だった。子どもみたいな大人と、大人びた子どもに説教くれるラウ・ル・クルーゼさんはいないのか。

 ましろ色シンフォニー第1話
 良かった点
 OP&EDも総崩れせずキャラデザは非常に好み。迷子の妹(CV:ゴマちゃん)が写メを送る演出が可愛いすぎる。風景を撮れよ!何か目印をメールしろよ!みたいなツッコミは受け付けておりません。兄さんおひさ!なんてマイペースな妹の性格が癖になりそう。そして迷い少女2号の電波介入と、出会いまでのドキドキ感が堪らない。「だって私たち、もう友達だもんね」どこかの隣人部に聞かせたいセリフで耳が心地良かった。家では兄想いの甲斐甲斐しさといい、謎の生物(推定ネコ)といい、全体的に冬のダカーポってノリで優しく見守ってあげたいハートウォーミング仕様だ。むしろギャルゲー準拠の世界観ながら、元女子高という環境なのである程度必然性をくれるのは親切な作り。
 良くなかった点
 Aパートが道に迷って、Bパートでやっと初登校。のんびりした時間が流れて、なおかつ特に大きな障害はない。せいぜい男蔑視の環境改善がテーマになるぐらいか。癒し系に特化してくれるなら、たまゆら的な需要はありそうだけど、祝福のカンパネラの二の舞を食らうだけではないかと心配。原作は18禁じゃないらしいが、それでも縞パンひとつ露出しないとはこれいかに。個人的には小野宮結月というキャラはCV:田口宏子なのに、PSP版のみ?なら願い下げだ。結局はギャルゲーorハーレム需要の域を出ないんじゃないか。少なくとも主人公は妹に恋しているわけでもなく、今回でアイリに一目惚れした形跡もない。男性排斥運動に端を発するアイリ攻略だけでは1クールに耐える興味の持続は適わない。

 灼眼のシャナIII Final 』第1話
 良かった点
 坂井悠二とシャナが対決する?こんなストレートにパンチの利いた冒頭からOPに突入する予想外のシナリオには驚かされた。少年マガジンで現在連載中のBLOODY MONDAYの第三章(ラストシーズン)でも、主人公がテロ組織に寝返るところからスタートしたけど、まさか前作から3年ぶりにきて意外性はこっちのほうが大きい。本編では時系列どおり、約束のクリスマスから日常生活へ。アラストールに下着をかぶせるシュールな演出も健在で、悠二のママCV:櫻井智の出演作が見れるのはここだけ(銀魂を除く)なので見応えは色々ある。そして返ってきた手紙の存在によって、どこかで生きているかもしれない希望のあとでの暗転、紅世パートではヘカテーベルペオルさんが順を追って跪き、そのバル・マスケの盟主として君臨する男が改めまして主人公というお披露目、これは大いに期待せずにはいられない。
 良くなかった点
 零時迷子や紅世の徒、フレイムヘイズの基本的な説明さえなく、Fate/Zero以上に初見さんバイバイすぎる。OPから登場キャラの詰め込みすぎで、対人関係やアクションの見せ場がほとんどなく、とりあえず自己紹介のぶつぎり感が半端ない。さらに悠二の成長した姿はダサすぎる、HUNTER×HUNTERのイルミ兄さんみたいな顔してちょっと引いた。初回から重い展開ばかりで、どうやってガス抜きするのか不安な学校生活。クラスメイトは全員記憶なくて良かったんじゃないの?事件に関わった人間全員とは言わないけど、復活したときの感動も限定されてしまうし、むしろ覚えてる人多すぎ感。日々の鍛錬は通常営業としても、力の具現化?エキゾチックマニューバじゃあるまいし、「何があっても対処できるように」って、そんなご都合主義的な武器設定に頼らず、炎髪灼眼の討ち手としては最後まで「刀」が武器であってほしい。

 ベン・トー第1話
 良かった点
 OPは今期暫定ナンバーワンの完成度。キャラ同士の関係性を表わす記号的な動き、殺陣のアクションといった迫力は頭ひとつ抜けている。これは昨今の電波ソングとは一線を画す中毒作用がある。そして冒頭に主人公が死んだというから、これゾンやいつ天の不死フラグかよと思わせといて「腹が減ってたら死ねない」と起死回生。思わずスクライド17話を連想した人もいることだろう。これは純然たる漢の格闘ドラマを期待させる。佐藤さんと斉藤さんの言い間違えも、最終回には直るんですよね?ミモリさん。スーパーのBGMがサカナサカナというリアリティ趣向の親近感も素晴らしい。本編はとにかく「くだらないことを命賭けでやる」力技のスタンスは評価に値する。探偵でいう清涼院流水もとい、エロ本に命を賭したそらのおとしもの的ロマンを求める超大作と言っていい。
 良くなかった点
 え?急に半額シールなの?10%とか30%とか秒読みを刻んだり、あらかじめカゴに入れておいてギリギリで貼ってもらう駆け引きはないの?リアルで1日250円の生活を送るボク個人的な感覚とは興ざめの世界観。さらに言えば半額弁当でも「高嶺の花」なので感情移入はまったくできない。半額を免罪符のように欲しいメニューで選ぶなよ。もっと厳選しろよ。つーか自炊しろよ。毎日半額弁当だと逆に高くつくぞ?とか実生活に照らして考えちゃう。エロ本の訴求効果と比べると、半額弁当のそれはきわめて限定的で貧乏目線で見ると必然性に欠ける。そもそもスーパーの主役は主婦もしくはオバさんなので、幽白の玄海師範みたいな老練なツワモノがまず登場すべき。結局美少女かよ?高校生や若者ばかりの争奪戦だとちょっと環境にそぐわない。

 未来日記第1話
 良かった点
 時空王がCV:若本氏っていうのがまたナイスキャスティング。殺伐とした世界観にほど良いガス抜きボイスとなる。無差別日記という設定も斬新だ。厳格な規則性のないDメールみたいなものか。世界線のアトラクタフィールドに縛られない限り、未来日記はやり方しだいで回避できるようなので絶望や鬱展開は限定的、むしろ駆け引きやゲーム性は高まる。それに10分刻みにストーキングしていた学校のヒロインのように、個人によって日記の形式は異なるので仕掛けはいろいろできそうだし。今回はわかりやすい噛ませ役=通り魔の犯人(3番目の日記所有者)がデモンストレーションとしてあがりを迎えたけど、本番はもっと狡猾であざとい推理描写も期待できそう。 
 良くなかった点
 未来日記のメリットに数学のテストが挙げられてたけど、それ以前に試験中ケータイ開いちゃ普通にカンニングと変わらんだろう。時空王って過去にもゲームやってたんでしょ?主人公は過去にも別のゲームしてたの?刺激のために殺し合いするってバトルロワイヤル並に無理くりな設定だが、そもそもサバイバルゲームに勝ったら神の座に就ける?聖杯戦争より豪華な特典だな。そんな大事な賭け事を12人で決めていいわけ?なぜその12人が選ばれたのか不明で、選ばれた12人は辞退できないの?少なくとも辞退しようという意思は表明してほしかった。日記所有者を捜すことから始まるって、シルエットや声で正体バレてね?いくら趣味とはいえダーツでケータイ壊せるかよってツッコミは置いといて、戸惑うばかりの主人公を除いて、なんでみんな慣れてるの?余裕あるの?学校の先生とかクラスメイトの美少女に助けてもらうフラグ立ちまくりで緊張感がまるでない。

 UN-GO 第1話
 良かった点
 獣手の助手は女だったのか!若干オカルト色の入った探偵モノと思えば、しかし本人いわく「一問だけ答えてしまう」能力というのは手続きの省略、つまり容疑者の自供なんかの無駄なパートを割愛するためのツールなので問題なかった。条件的にはホワイダニットに特化しているけど、目撃者の証言とか外堀を埋めていけばいくらでも応用は利きそうだ。貴方は犯人ですか?と聞いて回れば京極夏彦の『姑獲鳥の夏』みたいな犯人じゃない限り、簡単に解決しそうなので変身は多用できないのだろう。「美しいものを美しいものとして終わらせる」社会の必要悪みたいな探偵役にはヒロインの父親、それに対して「俺たちには縁のない話だ」と突っぱねる主人公はハイセン探偵?と聞いてすぐに脳内変換できなかったのも、本編を通して「俺はいつも負けてばかり」と種明かしをしてくれたのは映像表現的に功を奏しているんじゃないか。
 良くなかった点
 人物紹介のテロップが早くて小さい。3:4のブラウン管(14インチ)の我が家としては文字が潰れてたし。1話完結の30分フォーマットで事件解決となるのは今回だけか?『GOSICK -ゴシック』や『神様のメモ帳』だって初回から話数を稼いだのに。しかも導入部にしては安い殺人事件だった。ヴァン・ダインの二十則ノックスの十戒ばりに現実志向の推理劇なのか?SPさんのミスリードで奥さん犯人って何のひねりもないし、せっかく手持ちのインガさんカードを持ってるわりに地味すぎた。主人公はあまり主人公してない(お嬢様の出番が一番多かったのはこれいかに)過去の戦争?が舞台装置としても働いているっぽいけど敗戦探偵なんてネーミングが作為的じゃないか。そこだけ妙に世界系の設定だ。というか中の人(CV:勝地涼)的に、『銀色の髪のアギト』のようなジンクスがつかないことを祈るしかない。

 ギルティクラウン第1話
 良かった点
 ぱっくり背中のセクシィな美少女(ヒロイン)はもちろん、Pixiv出身のredjuice氏がキャラデザを手がける。正直言って、放送前から今期一番の好みだった。あやとりの演出も愛しさと幼さとエロティックさを両立している。猫耳ツンデレ要員も配し、クラスメイトの薄幸フラグ、それから篠宮さんの車椅子のお披露目は次週だろうか。制作はプロダクションI.Gらしく攻殻を連想させるメカアクション、そして冒頭の逃走劇から主人公の覚醒シーンに至るまでアーティスティックな作風が厨二設定の生臭さを消してくれた。走馬灯のフラッシュバックがいろいろ想像性を掻き立てたり、いのりのイメージ描写やメカ戦闘のクオリティは高く、ただ指をくわえて観ているしかない。ARIAやたまゆらが台頭する昨今、むしろこれぞ「癒し系」というに相応しい。
 良くなかった点
 いのり(CV:茅野愛衣)に関してはメンマの面影はないけど、主人公はといえば、終わったばかりのノイタミナ枠で『NO.6』と同じ梶裕貴を連投したのは気が狂ってとしか思えない。素直にクラスメイトの大宙氏にお鉢を回せば良かったのに。レジスタンスのリーダと思しきガイは、やたらと主人公にメタ発言を飛ばすのも気になる。パンデミックの恐慌から復興した合衆国日本的な世界観?がまだよく分からないうちにドンパチ始まった。どのぐらい治安が維持されていたのか?これがはじまりなのか、それとも地域によっては日常茶飯事なのか。かなりSF入ってるようだけど、魔法のような武器展開でどこまでパワーバランスを保てるか。要約すると、主人公が美少女を武器に戦っただけのプロローグにすぎず、期待感を煽ったわりにオリジナリティがまったくない。

 ラストエグザイル-銀翼のファム- 第1話
 良かった点
 OPは坂本真綾の歌うバディ、たまゆらと違ってアクロバティックな躍動感がすごい。空賊じゃないけど、最近でいうシャングリ・ラも彷彿とさせる。本作は同タイトルの続編ではなくアナザーストーリィなので初見さんでも気軽に入れるだろう。先週デモ回の肩透かしを食らったけど、期待どおりの意欲作だった。主人公ファム(CV:豊崎愛生)のローアングルな登場も、15歳らしい健康的な下着姿だったし、そこから海鳥の白い羽が舞うOPシーンが、色々と神懸かった紙一重の演出で素晴らしかった。「話の分かるひとって大好き!」親友ジゼル(CV:悠木碧)のコンビネーションはもちろん、息の合った2人の信号弾に招集されて、ディーオたちの連帯感もゾクゾクするほど手に汗握った。みゆきち王女の安定感とか、カッコいい眼帯のアデス連邦総統とか、前衛的なメカニックとアナログ感のある様式美など、とにかく随所のクオリティが高い。「追い風を祈る」 
 良くなかった点
 女性色が強くなってシムーン的な百合世界にならないか一抹の不安が過ぎった。あえて贔屓目にいえば、覚悟はしていたもののCV:斎藤千和の出勤は前作ほど回ってこないし。クラウス&ラヴィを基準に考えてしまうと、ヴァンシップを戦いの道具に使ってしまう空賊という職業に抵抗がある前作ファンもいるのでは。「平和で自由な空」を愛するってキャッチフレーズを標榜する主人公がどう世界に体現するのか。紅の豚よりはラピュタに近いが、早くからオーソドックスな対立構造が確立されている。北米やオセアニアなど世界配信を大々的にやるみたいなのでバイオⅣ的な派手なアクションシーンが優先になっているような気も。