とある飛空士への追憶

 2011年10月1日より全国ロードショー公開。キャッチコピーは「そこに自由はあるか」
 原作は2008年、犬村小六による日本のライトノベル。身分違いの恋と一人の少女を守るための空戦が描かれており、著者によると『ローマの休日』と『天空の城ラピュタ』の切なさと爽やかさを意識。『サマーウォーズ』等を演じた神木隆之介、グラビアアイドルの竹富聖花と芸人サンドウィッチマン富澤たけしは声優初挑戦となる。ファナのキャラデザは原作挿絵や漫画版とは大きく異なる。また、原作と比べて世界観や背景の説明、心理描写や戦闘シーン、「終章」などの各シーンの簡略化や変更が多く見られている(Wikipedia

 先日、ちょっとDVD借りて見たのでその感想
 
 原作ラノベは未読、漫画版のほうは『ゲッサン』で連載されていた数話をちょっと読んだことがあるぐらい。劇場版を見た第一印象は、やっぱり大人びた印象すぎて、特にファナは別人のようだった。CV竹富聖花の棒読みさえ気にしなければ、これはこれでアリではあるけれど。著者の思惑に反して『ラピュタ』より『紅の豚』を連想してしまった。いや、シャルルがマルコと言っているわけではなく、戦闘機「真電」の一騎打ちとかね。『ラストエグザイル』や『スカイ・クロラ』じゃないけど、逃げるのがメインというのは面白いね。後ろに搭乗しているお嬢様は、よくあれでGに耐えられるというか気持ち悪くならないのか?報酬の「砂金」に関しては、ラストはどうなるか予想の範囲内だったけど。本編は身分違いの恋が描かれているものの、レヴァーム空軍東方派遣大隊長官の「ドブねずみ」発言とは違い、作戦を立案したラモン・タスク中佐は餞別にワインを送ったり、ベスタドであることは気にしない友人のヨアキン(CV浪川大輔)やその仲間たちとの関係は良好そうで微笑ましかった。ただ一点、どうしても冒頭で気になって仕方がなかったのが、食事中に汚れた洗濯物を押し付けるシーン。わざわざ自分たちの衣服を食卓にぶちまけて、醤油とかソースが付いたりするのに気にならないのか?シャルルに同情する前に、不良連中の無神経さに同情してしまった。まァさておき、タイトルにあるように「追憶」というと『るろ剣の追憶編』みたいにバッドエンドというか、どうしてもアンハッピィ路線を想像してしまったが、『異国迷路のクロワーゼ』のクロードとブランシュ家の娘カミーユのように儚い恋物語も悪くはないかもね!

 それとひとつ、不満なポイント
 
 シャルルとファナが幼少期にデル・モラル家で知り合っていたという設定。「主人公がヒロインと幼なじみだった」というのは、先日『マツコ有吉の怒り新党』で挙げられた「温泉玉子の問題」みたいで、確かに恋愛物語の調理方法としては正攻法の伏線ではあるけど、この作品に関しては蛇足だったのでは。というのも、終盤までずっと「お嬢様」「飛空士さん」とお互いの名前を呼び合わない不自然さが決定的になってしまうからだ。前者は、真電との対決で「撃て」の合図として「ファナ!!」と初めて呼び、後者は「一緒に逃げよう、シャルル」と発言してから連呼するようになったけど。だったら、お互い子どもの頃に会っていたことが認知された時点で呼び方に変化がないのはおかしくね?とか邪推しちゃう。あからさまにこの名シーンまで温存していた感が浮き彫りでさー